働く授乳ママとは

 「働く授乳ママ」とは、出産後に仕事復帰する授乳中のお母さん、特に産後1年未満に働く必要があるお母さんのことを指してCocochieで使用しています。

 女性の社会進出によって出産後も働くお母さんが増え、保育園の増加によって仕事復帰しやすい環境が作られつつありますが、「1歳の壁」と呼ばれるように0歳児の方が入園しやすい現状があり、産後1年未満に仕事復帰しなければならない家庭が今も多く存在しています。仕事復帰するお母さんが母乳育児を継続することは自然なことであるのに①情報過多、②ロールモデルの不在、③社会認知の不足にうよって産後早期から人工栄養に移行するなど、母乳育児を諦めざるを得ない社会的現状があります。

 

①情報過多

 インターネット上では情報が溢れ、どれが信用できるものなのか判断が難しいです。両親学級で母乳育児について学ぶ機会があるかもしれませんが「働きながら母乳育児を続ける利点」は全く知られていません。

 液体ミルクの利便性が浸透し、「育児負担を減らす」といった文言であたかも人工栄養と母乳は大差がないような情報がよく目に入るようになりました。また、母親が搾乳の手技について学ぶ機会はほとんどなく、産後の仕事復帰について必要な情報の集約や教育はほとんどありません。

②ロールモデルの不在

 以前は結婚・妊娠出産により女性が離職することは当たり前だと考えられてきましたが、職業の幅が広がりフリーランスが増え、育児休業制度が作られ仕事復帰する母親が増えたことで、身近にロールモデルとなるような働き方をしている母親がいない、もしくは身近にいるのに知らないといった場合があります。女性の社会進出により出産後も働く母親が増えている現代においては、キャリアプラン・ライフプランについても中長期的なサポートが必要です。多様な生き方をする母親にとって、各々が自身のロールモデルとなるような存在を見つけることが必要になっていると考えます。

③社会認知の不足

 搾母乳を扱う保育園は少なく、職場などで搾乳の場所や時間を確保できないなど、周囲の環境が整わないことで母乳育児を諦めざるを得ない場合もあります。

 「働く授乳ママ」は早期の仕事復帰により時間の制約があり、必要な心身のケアを受けられておらず心理的にも孤立しがちです。昨今の男性育休取得推進は大変喜ばしいことですが、「父親が育児するので人工栄養を使う」などの声もよく耳にします。

こういった環境の中で「働く授乳ママ」本人にも母乳育児という選択肢が自然に排除され、出産早期から仕事復帰を見据えて人工栄養に移行することが多くあります。

 


Cocochieとしてのアクション

 この社会的現状に対して「専門性を活かし個別性に配慮した、母親がセルフケアできるコミュニティづくり」に取り組みます。

 助産師や看護師・保健師等の会員が中心となって定期的に「コミュニティづくり事業」を藤沢市内で対面またはオンラインで開催し、母親の想いを傾聴し必要とされる専門的な情報の共有を行い、セルフケアできるよう支援します。対象とする母親へ情報が届くよう、コミュニティの周知を目的としてチラシや名刺を作成・配布し、Instagramで情報発信、対面での相談会を実施します。

アクションによって実現したい未来

 仕事を継続してキャリアを重ねてきた、第1子を出産・子育て中の、頼れる親族が身近にいなくて家族のマンパワーが少ない、産後1年未満に仕事復帰する必要がある「働く授乳ママ」にとって心地のいい授乳ができ、多様な母親の生き方を尊重し合い、我が子と母親自身をいつくしむ環境を作りたいです。

 母乳育児によって子どもは感染症や生活習慣病罹患等のリスクが減少し、オキシトシン分泌による情緒の安定が図れ、その父親の手助けにもなるように。

 「働く授乳ママ」の雇用主側は子どもの急病が減るので欠勤が減り、「働く授乳ママ」の職場への愛着度が増し離職率が下がるなど効果が波及して、社会全体がもっと子育てに優しい世界になるように。女性活躍と母乳育児の現状に一石を投じます。